老親・家族 在宅での看取り方

自宅での療養だから好きなものを好きなように食べられる

写真はイメージ

 最期の時が近づいてくると、一日の大半をベッドに寝て過ごすようになります。そんな中で、患者さんがとても楽しみにされているのが、「口から食べる」ということ。

 口から自分の好きなものを食べるという行為は、自分らしく生きる営みであり、生きる意欲にもつながります。

 食事は単なる栄養補給にあらず。元気な時でも、食事にはいろんな意味を含んでいますよね。体が自由に動きづらくなってきたときでは、食事が持つ意味合いがもっと大きいものになると考えています。

「病院に入院していたときは、好きなものを食べさせてもらえなかった」

 そうおっしゃる患者さんもいます。私たちが患者さんやご家族に伝えたいのは、「在宅医療では食べることは自由。食べる楽しみを維持するため、できる限りのサポートをしますよ!」ということです。

 食べる自由を求めて、最近在宅医療を始められた60歳の女性。乳がんが骨へ転移。さらにはステージⅣの大腸がんも見つかったとのこと。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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