上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

熱中症にならないためには1日3回の「体温測定」が効果的

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 熱中症から命を守るためには、持病がなく健康な人が気温の高い環境で行動する場合、1日に最低2回、できれば3回は体温を測る習慣をつけることをおすすめします。

 1日に何度も体温を測ってみると、状況によってかなりの変化があります。私は耳の中のもっとも高い鼓膜の温度を測定できる耳式体温計を使っていて、いまは右耳が36.3度、左耳が36.0度です。私の場合、何かしら考えて整理しながら会話している状況では右側が高くなります。英語の論文を書いていると逆に左側のほうが高くなり、体を動かしているときはもっと極端に左右の耳で体温差が表れます。それくらい、体温は自分の体の状態を反映してくれるのです。

 熱中症を予防するためには、脳や内臓といった体の内部の温度=深部体温を測れる脇の下、口(舌)、耳、直腸などの場所で測定し、普段の体温よりも高くなっているときは、まずは首元など太い血管が通っているところを冷やしましょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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