回想法では、アルバム、映像、思い出の品などを見たり触れたりして、昔の記憶を蘇らせます。そして大事なのは、その思い出を人に話すこと。過去の出来事を思い出すという行為は脳を活性化させ、自分の人生を見つめ直すきっかけとなり、そしてそれを人に話せば、より脳を活性化させます。
当時の楽しさが蘇って穏やかな気持ちになったり、過去に得た自信を取り戻すこともできる。
「懐かしいね」と家族や仲間と話を共有できれば、「自分の話をちゃんと聞いてもらえている」と、安心感、満足感、自己肯定感を持つことができます。不安感や孤独感も和らぎます。
国立長寿医療研究センターの研究チームが回想法を実践している高齢者の脳を調べると、昔の話をしたり昔の品物を見たりすることで、脳の血流の増加が確認できました。回想法の継続的な実施で、暴言や徘徊といったBPSD(周辺症状)と呼ばれる認知症の症状が軽減したことも、研究で明らかになっています。
認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う