実際のところ、回想法そのものが認知症を改善するといったエビデンスがあるわけではないのですが、認知症の予防や治療に携わる現場の人間の間では、回想法によって人間関係が改善し、コミュニケーションも深まるので、その効果に期待が寄せられているのです。
親御さんの思い出話に積極的に耳を傾けるだけでもいいのですが、回想法としての効果をより高めるために、次の方法を意識してはいかがでしょうか?
■締めくくりは「楽しい話」で
回想法は個人で行う場合と、グループで行う場合があります。本欄では、個人で行う場合についてお話ししましょう。
回想法は、本人にある程度の聴力やコミュニケーション能力などがなければ、効果が発揮できません。まずは、それらがあるかどうか。お話しする側が抵抗なく話せるテーマを選ぶこと、聞き手側は、それらのお話を理解できるように、当時のライフスタイルなどを理解しておくことも大事です。昔の写真、使われていたものなど、過去を思い出しやすいものを準備しておくと、スムーズに回想法が進むでしょう。
認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う