役に立つオモシロ医学論文

コロナ禍の“旅行控え”はうつ病リスク? 精神医学専門誌で報告

仁川国際空港を歩く旅行者(C)ロイター

 その結果、過去1年間に旅行をしていない人では、少なくとも1回の旅行をした人に比べ、翌年にうつ病を発症するリスクが1.7倍、統計的にも有意に増加しました。また、うつ病を患っている人では、うつ病を患っていない人に比べて、旅行しない可能性が約2倍、統計的にも有意に増加しました。

 コロナ禍においては、感染リスクの観点から旅行を控えた方も多いと思います。ただ、旅行をしないこともまた、精神的な健康状態に悪影響を与える可能性が示されています。

 論文著者らは「旅行をしない人では、抑うつ症状の悪化に注意すべきであり、うつ病患者やうつ病のリスクが高い人にとって、旅行は有益である」と結論しています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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