そんな患者の「全然食べていない」をうのみにして食事量を増やせば、さらに多くの糖質を摂取することになり、そこで減薬すれば二重の意味で糖尿病は悪化する。
■在宅診療の現場は医学的な正論が通じない
また、糖尿病が進行すると慢性腎不全になる人がいる。そうした患者に「タンパク質の取り過ぎは腎臓に負荷をかけるので減量しましょう」という正論をぶつけるのは在宅医療の現場を知らないからだと山中医師は言う。
「先述した通り、独居や老老介護の高齢な糖尿病患者さんはタンパク質を取りたくても取れない状況にある。それなのに減量を呼びかけることに意味があるのでしょうか」
「全然食べていない」が「糖尿病になりそうなものを食べていない」という患者の場合は、もともと炭水化物や果物、栄養ドリンクなどを過量摂取しているケースが多い。彼らは糖尿病は甘いものを食べるからと勘違いしているという。