役に立つオモシロ医学論文

認知症の予防に最適な歩数は1日1万歩弱 7.8万人を対象に解析

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 研究参加者の歩数は手首に装着する小型の計測機器を用いて測定され、認知症リスクとの関連性が検討されています。

 なお、結果に影響し得る年齢、性別、教育水準、喫煙・飲酒習慣などの因子について統計的に補正を行い、解析されました。

 中央値で6.9年にわたる追跡調査の結果、認知症の発症リスクが最も低下した歩数は、1日当たり9826歩で、最も少ない歩数と比べて51%のリスク低下を認めました。また、認知症の発症リスクが統計的にも意味のある水準で低下した最低歩数は3826歩で、最も少ない歩数と比べて25%のリスク低下を認めています。

 論文著者らは、認知症になりにくい健康的な人ほど身体能力が高い可能性に言及しつつも、「歩数が多いことは認知症の発症リスクの低下と関連しており、最適な歩数は1日当たり1万歩弱と推定される」と結論しています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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