老親・家族 在宅での看取り方

在宅でも「褥瘡」の治療は可能 形成外科的処置で壊死部分をかき出す

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 自宅での療養を始めた80歳の独り暮らしの女性。この方はもともと長年にわたる糖尿病で、皮膚の炎症を起こしやすく、細菌感染で皮膚や脂肪組織などに炎症を起こす蜂窩織炎(ほうかしきえん)を患っていました。

 さらには、寝たきり状態によって皮膚の血流が滞り生じる褥瘡(じょくそう)、骨の強度が低下し骨折しやすくなる骨粗しょう症があり、腎臓で作られる造血ホルモンであるエリスロポエチンと呼ばれる物質の産生量が減少することで貧血をおこす腎性貧血も患っていました。

 特に足のかかとと背中に蜂窩織炎があり、その状態がよくないために通院が難しく、今回私たちの診療所で在宅医療を始められたのでした。

「初めましてこんにちは。蜂窩織炎は退院されてから?」(私)

「違います。9年くらい前からズキンズキンって痛くてね。前の病院では最初、足がこんなになったから手術しようかってなったんだけど、わたし頑張りますって、先生に『手術を』って言わせてやらなかったのよ」(患者)

2 / 3 ページ

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

関連記事