認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

アルツハイマー病の薬「レカネマブ」は夢の新薬と言えるか?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 アルツハイマー病の進行を抑える効果が期待されています。

 エーザイと、東京大学やエール大学などの研究グループが「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した内容によると、臨床試験は日本、北米、欧州、アジアの235の医療施設で早期アルツハイマー病と診断された患者1795人を対象に実施。男女差はほぼ同数で、平均年齢は72歳でした。

 1795人中898人に新薬レカネマブを投与、897人にプラセボ(偽薬)を投与。投与のスパンは2週間に1回で、静脈注射です。18カ月後に、認知機能や身体活動などを総合的に詳しく調べました。

 すると、新薬投与群では症状の悪化が27%抑制。早期アルツハイマー病の進行度などを評価する指標「ADCOMS」では、症状の進行が24%抑制との結果でした。

 画像検査では、脳内に蓄積したアミロイドβの18カ月後の変化が見て取れ、プラセボ群では蓄積が増加していましたが、新薬群では減少。蓄積度を示す指標も、新薬投与群で大幅に減少していました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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