老親・家族 在宅での看取り方

自宅で過ごす大切な時間を積極的に充実したものにしたい

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 なぜなら、介護用ベッドやポータブルトイレ、手すりといった介護用具や設備などの環境調整の内容が、大きく変わってくるからです。

 そして在宅医療を導入するタイミングとして、IADLが低下してから始めるのか、それともADLが低下してから始めるのかではその後の療養生活の質も大きく違ってきます。

 最近、訪問看護ステーションから紹介を受け在宅医療を開始された95歳の女性がいます。旦那さんと2人暮らしの彼女は、膵がんが肺と肝臓へ転移しており、糖尿病も患っていました。

 ADLはほぼ自立しており、どうやら病状が悪化した場合は病院に戻られるおつもりのようです。いつか訪れる旅立ちの日の備えと身辺整理で自宅に戻るために在宅医療を利用したのだと、私たちに打ち明けてくれました。

「こんにちは」(私)

「ごみ屋敷で恥ずかしいね」(患者)

2 / 4 ページ

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

関連記事