老親・家族 在宅での看取り方

自宅で過ごす大切な時間を積極的に充実したものにしたい

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「出なくていいですよ。食べてないから」(私)

「ご飯粒一粒も食べてない。ちょこっと食べたいなって」(患者)

「ちょこっとならいいですよ」(私)

「わたしは元に戻るんですかね」(患者)

「はい、それはゆっくり」(私)

 ご自身に残された時間に限りのあることは覚悟しながらも、自宅で過ごす大切な時間を、積極的に充実したものにしようとしている--。

 そんなご様子に接し、どんな患者さんの小さな思いにも、できるだけ寄り添いサポートしよう。それが在宅医療に求められるもっとも大切なニーズなのだと、思いを新たにしたのでした。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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