認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

治る認知症「正常圧水頭症」は3つの症状がみられたら要注意

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 認知症の中には、治療によって治せるものもあります。そのひとつが、「正常圧水頭症」です。

 脳脊髄液が脊髄から血管内へうまく流れず、頭蓋内にたまり、脳室が拡大する病気です。10年前にお母さん(Aさん)がこの病気と診断され、治療を受けたら症状が劇的に改善した経験を語ってくれたのは、関東地方に住む女性です。

 Aさんの物忘れが急激に激しくなったのは75歳の時。娘さんの付き添いで認知症外来で記憶力テストやMRIを受けたところ、「認知症が考えられるが、悪いタイプではない。とりあえず経過観察でいきましょう」と言われ、月1回の診察を1年間続けました。

 そんな折、娘さんが読んでいた新聞で正常圧水頭症が紹介されていました。コメントしていた医師が自宅からそう遠くない病院で診察をしていたこと、さらには物忘れの程度がこの数カ月間で一層進んだことから、娘さんが主治医に相談。紹介状を書いてもらい、その病院を受診しました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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