この治療で、Aさんはスタスタ普通に歩けるようになり、物忘れもなくなりました。手術から1カ月後には、娘さんと2人で紀伊半島の熊野古道をめぐるツアーにも参加したそうです。
■アルツハイマーと誤診されるケースも
水頭症には、脳出血、脳腫瘍、頭部外傷など頭蓋内の疾患に引き続いて起こる「続発性水頭症」もありますが、正常圧水頭症(特発性正常圧水頭症とも言います)は、原因が明らかではありません。
3大症状として、歩行障害、認知機能低下、尿失禁があります。Aさんも受けた髄液シャント術で、歩行障害は9割程度、認知機能低下と尿失禁は7割程度の患者さんで改善が期待できるとされています。
今でこそ正常圧水頭症は「治る認知症」として専門医の間で知られるようになってきていますが、それでも高齢者に多い病気であることから、正常圧水頭症の検査をされないままアルツハイマー型認知症と誤診されていた──という話も聞きます。本当にその診断で正しいのか、状況によっては、疑いの目を持つことも必要です。
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