近年は画像診断技術が進歩し、剖検しなくともほとんど画像診断で分かると話される方がいますが、まだそこまでは進んではいません。剖検させていただいて、そこで初めて分かることはたくさんあります。生前の画像診断では、すべて分かるところまで進んでいるとは言えないのです。
日本内科学会においては、医師の認定教育施設の基準に年間の剖検数が挙げられています。直接の死因はがんなのか、そうではないのか、病気はどこまで広がっていたのか、治療の効果はあったのか……剖検によって明らかになることはたくさんあるのです。
いま遺伝子診断が注目されていますが、剖検による肉眼、顕微鏡診断は臨床医学の進歩に大切な役割を果たしているのです。
がんと向き合い生きていく