感染症別 正しいクスリの使い方

【ヒトメタニューモウイルス感染症】10歳までにほぼ全員が1回は感染する

乳幼児は重症化することも

 ヒトメタニューモウイルス感染症は、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスとは異なり、ワクチンや抗ウイルス薬がなく、重症度に応じた対症療法を行います。

 また、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスと同様に抗原検査キットによる迅速診断が可能で、鼻咽頭を細い綿棒でぬぐった後、3~15分程度で診断されます。

 確定診断ができても治療薬がないのだから意味ないじゃないかと思われるかもしれませんが、原因ウイルスを特定することにより、不安を解消できますし、家庭内や保育施設などでの流行を把握することができます。また、何より「ウイルス感染」であるとわかれば、不要な抗菌薬の使用を避けることにつながるのです。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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