老親・家族 在宅での看取り方

90歳の男性患者「旅行にも温泉にも行きたい」自分のしたい楽しいことをしよう

旅行にも温泉にも行きたい…

「そのことについてはどうしたいですか?」(私)

「消化器の先生に見てもらったら、腎臓内科に紹介してもらったほうがいいじゃないですかって言われたんです。最終的に透析になるよって。腎臓をどうにかしたいです。病気も心配だけど透析も心配だし」(息子)

「やるにしろやらないにしろ、こちらから先生と相談することもできます。あと、透析は断ることもできますから」(私)

「そうなんですね、知らなかったです」(息子)

「うちにも血液内科の先生もいますから」(私)

 一つずつ疑問と不安を消し一緒に希望を見つけていく。“相談員”としての役割も、在宅医療には重要な役割。

「これからは自分のしたい楽しいことばっかりするっていうのもひとつですね」(私)

「旅行にも温泉にも行きたいんです」(患者)

「そうですよ、どこの温泉がいいですか?」(私)

「うーん、草津温泉。やっぱりあそこの温泉がいい」(患者)

 尽きない話は病気だけではありません。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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