第一人者が教える 認知症のすべて

定期的かつ長期的な運動は認知機能に良い影響をもたらす

早歩きなど、仲間と楽しくできるものを…(C)日刊ゲンダイ
週3回以上運動している人はリスクが38%低い

 運動の頻度については、こんな研究が。65歳以上の高齢者で、運動の頻度が週3回以上の人と、週3回未満の人を比較すると、約6年の経過観察において、週3回以上の方が認知症の発症リスクが38%低かったそうです。

 ただ、運動が苦じゃない人は「認知症予防に」などと言われなくても、すでに何らかの運動をしていますよね。一方、苦手な人は「運動がいい」とわかっていても、なかなか行動に移せない。

 性格にもよりますが、運動習慣がない人は、1人で黙々とマシンを使うようなスポーツジムは、向いていないかもしれません。最初は、仲間と楽しく行えるものがお勧めです。史跡散策、ハイキング、登山なども立派な運動。ネットで検索すれば、中高年で運動が苦手な人でも楽しんで参加できるサークルがいくつもヒットします。

 冒頭で紹介した「ラクティブ」や「シナプソロジー」も仲間と一緒に行うタイプのもので、参加者の皆さんは「間違えた!」「うまくできない!」などと盛り上がりながら楽しんでやっていますよ。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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