「肥満症」は治療が必要な病気 30年ぶりに新薬「セマグルチド」の承認が了承される

肥満症は治療で治せる(C)ロイター

 糖尿病の薬といえば、SGLT2阻害薬も体重減少効果が報告されている。とはいえ、数キロ程度。今回のセマグルチドが臨床試験で示したような「マイナス13.2%」(80キロであれば、マイナス約10キロ)といった劇的な減少はSGLT2阻害薬ではみられない。

 子供の肥満症にも、今回の薬は使えるのか?

「海外の臨床試験では10代(12~17歳)の子供に対する効果が示されましたが、わが国では臨床試験は行われていません。ただ今後は子供の臨床試験も行われるかもしれません」

 肥満は、囲み記事で紹介している健康障害のほか、がん、胆石症、肺塞栓症、気管支喘息、男性不妊、胃食道逆流症、精神疾患といった病気のリスクを上げる。だからこそ、治療が必要。

「肥満を『自己管理がなっていないから』と考える風潮がありますが、それは間違い。体質、遺伝、環境など本人がどうしようもできない要因も関係している。肥満症は治療で治せます。専門医に相談してください」

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