がんと向き合い生きていく

命を考える──恩師の人柄と考えに触れて思わされたこと

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 これらの論文の表題からも推察されますが、退官後の品川先生の大きな仕事のひとつに、「核兵器の廃絶や核拡散防止」を心底から願い、広く社会に警鐘を打ち続けられていたと思いました。

 産婦人科学という分野は、分娩、帝王切開、新生児、不妊等々、そして婦人科がん、末期がん、死まで見つめます。品川先生は、長い間、生命の誕生から死まで深く関わり、現役を退いてからも、哲学、倫理学、社会学をさらに深めていかれたのでしょう。

 特に産科学では、生命の誕生という点からも、「命とはなにか?」を絶えず考えてこられたのではないかとあらためて思いました。

 品川先生が活字に残された、命の考え方、思いを、深く理解していきたい。そう思わされました。

4 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事