Dr.中川 がんサバイバーの知恵

精巣がんでは精子凍結保存で抗がん剤治療後の子づくりに備える

「爆笑問題」の田中裕二さん(C)日刊ゲンダイ

 5年生存率は、転移がないステージ1は100%で、リンパ節のみに転移したステージ2は90%です。抗がん剤がよく効きやすく、治りやすい。ですから、若い人は入浴時などのセルフチェックが欠かせません。

 このがんには、明らかなリスクがいくつかあります。その因子がある人はぜひお勧めです。

 リスクの1つは、停留精巣です。精巣は元々、胎児のお腹の中にあり、出産までに少しずつ下りてきて体の外の睾丸に収まります。3%の頻度で睾丸に入らないまま生まれてくるのが停留精巣。そうでない人に比べて3~14倍の精巣がんリスクです。もう1つは、片方に精巣がんがある人で、もう一方に発生するリスクは20倍以上。3つ目が家族歴で、親が精巣がんだと同4倍、兄弟は同8倍です。

 こうした要素があるため、丁寧な経過観察がとても重要になります。さらに細胞の種類は、セミノーマと非セミノーマに分けられ、後者は転移しやすいため、後者ならなおさらです。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事