「しかも、従来のコンピューターとは比べものにならないほどの演算計算能力を持つ量子コンピューターなどの新世代コンピューターの開発が進んでおり、実用化すればより正確な個別治療が行われることになるでしょう。たとえば、がん治療薬の組み合わせは兆をはるかに超えるパターンがあることが知られています。同じがんでも、体重、身長、性別などが異なる患者一人一人に最適な治療をはじき出すことはできませんでした。しかし、新世代コンピューターに人工知能(AI)を搭載し、ビッグデータを解析させれば、それが可能になるのです。もちろん、新薬の開発も劇的に進むでしょう」
現在、新世代コンピューターがはじき出した答えの中から正しい解を見つけ出すためのアルゴリズムは発見されていない。そのため、医療用AIががん治療専門医の能力をしのぎ、信頼を勝ち得るまでには時間がかかると思われるが、そうした時代が近づいているのは間違いない。
医療未来学者が語る 5大国民病のこれから