医療だけでは幸せになれない

対話型AIに聞いてみた ロックダウンと自粛の「倫理」

緊急事態宣言下で閑散とする渋谷のスクランブル交差点(C)日刊ゲンダイ

 どういうことか。端的に言えば、不倫はダメ、自粛破りはダメという単純な判断をすべきではない。倫理的かどうか、よく吟味が必要である。不倫であっても、倫理的かもしれない。ここに倫理のもっとも重要な側面が現れているように思われる。倫理的な問題は、「倫理的かどうか判断が困難な状況で現れる」ということである。倫理の問題は難しい。こうした難しい問題をAI(人工知能)はどう考えるのだろう。ちょうど対話型AIなるものが話題になっている。私も少し使ってみた。Bingというのに登録できたので、試しに「倫理的とは」と質問してみると、以下のような回答が得られた。

「倫理的とは、倫理にかなうさま、または倫理にかかわるさまを表す形容詞です。倫理とは、人として守るべき道や善悪の判断の基準のことで、道徳やモラルと同じ意味です。例えば、『倫理的な生き方』や『倫理的責任』などの言い方があります」

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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