老親・家族 在宅での看取り方

最期の時を飼い猫と一緒に過ごしたい…だから自宅を選ぶ

写真はイメージ

 心不全と貧血を患う90歳の女性。2世帯住宅で、2階には長男夫婦が住み、ご自身は長女と一緒に1階で暮らしています。

 これまで入院していた病院では、月に1度の輸血を受けていました。しかし、原因を探るための精査はもう受けたくないということで、在宅医療へ切り替えたのです。貧血で心不全の悪化を繰り返しており、利尿剤などによる対症療法でコントロールしていきたい、との希望がありました。また、ご家族の希望としては「退院し自宅に戻ったら、点滴を外し、食べたいものや飲みたいものをできるだけ食べさせてあげたい!」というもの。

 病院ではリハビリも進まず、退院時には車椅子でさえ長く座ることができないほどで、確実にそして緩やかに衰えていくご様子でした。しかし、在宅医療を本人に決断させたものは果たして、自宅で飼われている1匹の猫ちゃんに会うためだったのでした。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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