「もともと元気で病院に本人が歩いて行って輸血していたんですが、年末に緊急で違う病院に搬送され、入院中に食が細くなって精神的にも参っちゃって、家に帰りたいって希望だったのでかなえてあげたいなって」(長男)
「最後の輸血はいつでしたか?」(私)
「先週かその前って」(娘)
「口から取りますか、それとも点滴で?」(私)
「飲めます」(患者)
「そうしたら、まずは口から水分を取ってもらって、今日ダメそうだったら明日から再開できるようにしましょうか」(私)
「1日の最低は?」(患者)
「食事の状況も見てですが、500ミリリットルですかね」(私)
「そんなに飲めないよね」(患者)
「水じゃなくてお好きなドリンクでいいですよ」(私)
私たちのやりとりをまるで聞いているかのように、患者さんのベッドの下で猫ちゃんが丸まっています。
その瞬間なんとも穏やかな時間が流れているのを感じたのでした。
老親・家族 在宅での看取り方