医療だけでは幸せになれない

コロナとマスク着用 「判断する」と「考え続ける」は相反する部分がある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 3月13日以降、急激に屋外でのマスク着用者が減るとは考えにくい。自分自身がそう考える根拠は何かと言われると、はっきりしないところもあるが、顔を見られたくないという気持ちはなんとなくわかる。

 電車内でマスクをつけない人を見かけたときに、「そんなに自分の顔を見せたいか、少しは遠慮したほうがいい」、そんな気持ちがないわけではない。これもまた厄介な気持ちである。イスラム教の女性がかぶるヒジャブを連想する。自分にもそうした何かを抑圧したいような気持ちがある。

 今しばらく考え続けたい。日々のマスク着用は適当にする。行動は適当に、判断を先延ばしにして、考えることに集中したい。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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