心臓疾患があるがん患者さんの治療に関しては、私は草創期から関わってきました。いまの循環器治療に関するガイドラインでは、心臓疾患があってがん治療を行う患者さんは、冠動脈の場合ならステントではなく、まずは全身への負担が少ない心拍動下の冠動脈バイパス術を先行してから、がん治療に臨むのが安全性が高いと推奨されています。これは、われわれがずっと行ってきた治療で良好な成績が積み重なったことにより判断されたものです。
前回お話ししたように、今年3月、一部の抗がん剤の心臓に対する副作用への対応について、日本臨床腫瘍学会と日本腫瘍循環器学会が初めてガイドラインをまとめました。これを機に、心臓疾患を発症したがん患者さんの診療や治療が、さらに進歩していくのは間違いないでしょう。
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上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」