小中学生の8.8%が該当 発達障害は「触覚過敏」に悩むケースも多い

「発達障害」と診断される人が増えているが…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

■衣類のタグや素材に気を配る

 中でも、無視できないのが「触覚過敏」の症状だ。和田氏らが発達障害の人を対象に行った「感覚」に対する調査で、特にASDの人は「触覚」の問題が最もつらい症状だと答える割合が、ADHDやLDに比べて多いことが分かったという。

「これまで、発達障害の人は聴覚が過敏であることはよく知られていました。実際、発達障害を持つ人のうち50%以上の人が、聴覚の問題を最もつらい症状と回答しています。しかし、ASDでは『服のタグが肌にあたりチクチクしてつらい』『人と握手したり触られるのが苦痛だ』と訴える人が多かったです。また水や粘土など、特定のものが苦手と答える人もいました。聴覚に加え、触覚についても適切に対応することが大切です」

 発達障害で感覚過敏になる原因は明らかになっていないが、脳の神経の発達に関わる遺伝子に違いがあることで感覚の調整に問題が生じて、感覚過敏を引き起こすとされている。発達障害がない定型発達の人は、強い光を見たり大きい音を聞いても徐々に慣れるのに対し、発達障害の中でも特にASDの場合は感覚の調節が難しく、必要な感覚刺激だけを拾えずにすべての刺激を受け取ってしまうという。実際、周囲の雑音など、自分にとって必要な注目すべき音以外もすべて同じ音量で聞こえてしまうことから、騒がしい環境での会話が難しいそうだ。

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