第一人者が教える 認知症のすべて

入院した高齢者の3分の1がせん妄を経験…発症の半分は入院中に

せん妄の促進因子を除去し認知機能低下を予防
せん妄の予防が認知機能低下の予防につながる

 せん妄とは、どういう症状か? 精神疾患の国際的な診断基準「DSM-5」では、「意識と注意の障害」「認知の全体的な障害」「精神運動障害」「睡眠-覚醒周期の障害」「感情障害」が程度に関係なく起こるとされています。

 具体的には、次のような症状が典型的です。

・ぼんやりしている、朦朧としている
・見えるはずのないものを見えると言ったり、いるはずのない人の存在を訴えたり、つじつまが合わないことを口にする
・注意力が散漫になる
・夜眠らずに興奮する
・睡眠と覚醒のリズムに障害が起こり、昼夜逆転になる
・突然怒り出す、泣き出す、夜に興奮状態になるなど、感情が不安定になる

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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