・入院中、点滴やチューブを自分で抜いてしまう
せん妄と認知症は双方に関連すると述べましたが、現時点で認知症ではない場合、せん妄と認知症を区別して考える必要があります。せん妄の促進因子をできる限り除去することでせん妄を予防し、認知機能低下に結びつくのを回避するのです。
せん妄と認知症の違いとしては、まずせん妄の発症は「急激に」起こること。初期症状は「幻覚、妄想、興奮」であり、認知症の「記憶障害」とは異なること。
また、せん妄は「夕刻から夜間に発症することが多い」のですが、認知症ではそういった変動は少ないです。せん妄の症状は一過性で、数時間から数日でなくなります。改善した後は、発症前と同じ状態に戻っています。認知症で認知機能が低下している場合は、そうはいきません。
なお、せん妄には、3つのサブタイプがあります。過活動型、低活動型、混合型です。かつては、過活動型がせん妄の一般的なタイプと考えられていましたが、全体の25%ほどで、ほとんどが低活動型だといわれています。
第一人者が教える 認知症のすべて