上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

サプリメントと正しく付き合うために意識するべきポイント

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 とはいえ、サプリメントの中には驚くほど高価なものがあるのも事実です。個人的な考えですが、私は同じ種類のサプリメントがあれば高価なものを選びます。意図的に出費することで、「無駄にならないようにきちんと飲まなければ」と強く意識して、適切な摂取習慣が確立できるからです。サプリメントと正しく付き合っていくには、実感できる効果と、それに見合った価格かどうかをしっかり見定める必要があるでしょう。

 もうひとつ、サプリメントと付き合ううえで注意すべきポイントは、「何かおかしいな」という異変を感じたらすぐに中止することです。せっかく始めたのだから……などと様子を見ながら漫然と続けることはせず、スパッとやめて早い段階で医療機関に相談してください。

 また、さまざまな持病があって、朝、昼、晩と普段から10種類近く薬を服用している人は、それにプラスしてサプリメントを飲むのは体への負担でしかありませんから、やめたほうがいいでしょう。そこまでではなくても、定期的に飲んでいる薬がある人がサプリメントを始めるときは、飲み合わせで相互作用が出ないかどうか、主治医に必ず相談してください。たとえば、クロレラ系のサプリメントは、血液をサラサラにする抗凝固薬の効果を減弱させてしまいます。降圧剤の効き目を増強させて血圧を下げすぎてしまう危険があるサプリメントもあります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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