第一人者が教える 認知症のすべて

「物忘れ」とは最近やさっき起きたことの記憶を保持できない

認知症になるとさまざまな障害が生じる(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
スクリーニング検査は確定検査とは違う。より総合的な判断が必要

 認知症になると、認知機能低下(記憶、見当識、言語、注意と集中、計算、学習、思考、判断の障害)のほか、心理・行動症状(幻覚・妄想、不安、抑うつ、易刺激性、脱抑制)、日常生活能力(ADL)の低下など、さまざまな障害が生じます。それらに対しては、複数の評価法が登場しています。

【MMSE(ミニメンタルステート検査)】

「Mini Mental State Examination」の頭文字をとったMMSEは、日本で最もよく使用されている簡易認知機能検査のひとつ。国際的にも通用するものになります。1975年に開発されました。

 設問は、全部で11項目。ちょっと長いですが、どういうものかを挙げましょう。

「時間の見当識(『今日は何日ですか?』など)」「場所の見当識(『ここは何県ですか?』)」「物品名の復唱(『桜、猫、辞書』など、質問者が言った3つの単語を繰り返してもらう)」「注意と計算(暗算での引き算や、単語を逆から言う逆唱)」「再生(新しく覚えた記憶を保持し、思い出せるかを確認)」。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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