第一人者が教える 認知症のすべて

「物忘れ」とは最近やさっき起きたことの記憶を保持できない

認知症になるとさまざまな障害が生じる(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

「長谷川式」と呼ばれるこの検査も、日本で非常によく用いられています。年齢、見当識、視覚性記憶、計算、逆唱など9項目で構成されており、30点満点で20点以下が認知症疑いとなります。MMSEにはある書字や図形模写は、長谷川式には含まれていません。

 やはりスクリーニング検査なので、長谷川式だけで認知症を判断するのは不適切です。

 MMSEも長谷川式も、現代はインターネットで調べればどんな内容かがすぐにわかります。認知機能低下が見られ始めていても、軽症だったりMCI(軽度認知障害)であれば、数値が高くなりがち。繰り返すうちに「学習」してしまうことも。

 認知症かどうかを判断するには、より総合的な判断が必要です。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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