重症では手だてがなかった「円形脱毛症」にリウマチ治療薬が効果大

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「単発型など軽症の患者さんの約80%は、特に治療をしなくても1年以内に自然に自己免疫の状態が正常に戻り発毛するといわれていますが、5%の人は悪化して全頭型や汎発型に移行します。重症度や脱毛面積の広さ、脱毛期間の長さなどが悪化の要因となるので、脱毛を見つけたら早い段階で皮膚科を受診してください」

 治療は一般的に抗炎症作用を持つステロイドの塗り薬や局所注射のほか、クリニックによっては脱毛部分に液体窒素を当てる冷却療法や紫外線療法を行う。軽症の場合、これらの治療法で症状は回復するが、回復がみられない中等度以上では、患部にあえてかぶれを起こし、発毛を促進する局所免疫療法が行われる。

 重症とされる全頭型や汎発型に有効な治療法はこれまでなかったが、冒頭で触れたように、昨夏にオルミエントが初の治療薬として承認された。

「オルミエントは円形脱毛症治療薬の中で唯一世界基準で治療効果が証明された薬です。内服治療の対象は15歳以上で、脱毛面積が頭部全体の50%以上、かつ半年間以上治療の効果がみられなかった重症者のみ対象です。治療効果を判断するために1年間継続して服用するのをお勧めしますが、保険適用にもかかわらず自己負担額が毎月5万円前後と高額で、まだ患者さんの負担が大きいのが現状です」

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