認知症最新研究 特定の「音」を聞かせて原因物質アミロイドβを減少させる

近い将来、「音楽で自然に認知症予防」となっている可能性も

 19年発表の研究では、アミロイドβタンパクを発生させたマウスに40ヘルツ周期の断続音を聞かせたところ、音がない状態では見られなかったガンマ波が、聴覚野と海馬に発生した。

「結果、アミロイドβタンパクが有意に減少。空間記憶(認知機能低下で障害を受ける目的地へ向かう機能)が改善するという脳に好ましい変化が生じました」

■ヒト対象の実験では脳室の拡大が抑制された

 では、人間では?

 22年発表の研究では、DrTsaiは40ヘルツ周期の断続音・断続光を発するデバイスを開発。人間を対象に実験を行った。

「やはり人間の脳内でもガンマ波が発生。しかも、健常な若年層、健常な高齢層、軽度のアルツハイマー病患者いずれでも発生したのです。第Ⅱ相試験(2段階目の臨床試験)では、40ヘルツ周期の断続音と断続光で、脳室の拡大が抑制されているという結果が得られました。併せて脳室の斜め下にある海馬の萎縮の抑制も確認されました」

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