認知症最新研究 特定の「音」を聞かせて原因物質アミロイドβを減少させる

近い将来、「音楽で自然に認知症予防」となっている可能性も

 この研究を受けて、より実用的な音を開発したのが、日本の「塩野義製薬」と「ピクシーダストテクノロジーズ」だ。

 実は、DrTsaiの研究では、被験者の3割が脱落。というのも、40ヘルツ周期の断続音・断続光は、耳も目も塞がれて1時間刺激を受けなくてはならず、音もパルス状で不快という背景があったからだ(ただし、重篤な有害事象は報告なし)。

 そこで塩野義製薬などは、日常的に耳にしても不快・不自然ではなく、40ヘルツ周期の音・光刺激を受けた時と同様にガンマ波の脳波を発生させる「ガンマ波変調技術」を開発。22年9月の日本認知症予防学会学術集会で、同技術でガンマ波発生が可能であるという研究結果を発表した。

「今後さらに効果・安全性の検証が進み、早期に社会実装化されることが望まれます」

 聴覚刺激がいいのは、「ながらテレビ」「ながらラジオ」と言われるように、何かをしながらでも聞けること。

 そう遠くない将来、「あちこちで流れる音楽で自然に認知症予防」となっている可能性は大きい。

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