上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

脈拍が速いと早死にするという説は本当か?頻脈は心房細動リスク増

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 また、脈拍が速いということは、心臓の中に血液が流れ込む拡張期が短いということです。脈拍が速い人は健常な人に比べて、血流が不足した状態で心臓を動かしているわけです。それだけ早く心臓が疲弊してしまう可能性があるといえます。

■基礎疾患があればきちんと治療する

 では、脈拍が速い人はどのような対策が必要になるのでしょうか。

 まず、脈拍を速くする基礎疾患がある人は、基礎疾患の治療を受けてください。頻脈を招く疾患でポピュラーなものは「貧血」と「甲状腺疾患」です。この2つの疾患に対してきちんと治療を行えば、頻脈も改善していきます。また、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害がある、女性であれば生理が重いなど、そうした要因が重なると頻脈を招きます。改善に取り組みましょう。

 脈拍数を単純に減らすだけならば、「β遮断薬」という薬を飲めば解決します。高血圧、頻脈性の不整脈、虚血性心疾患、心不全などに対して使われる薬です。私自身も、50代の半ばくらいから甲状腺の病気がきっかけで、脈拍が75~80回程度と頻脈傾向が表れたため服用しています。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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