われわれヒトの心拍数は安静時で1分間に60~70回、世界全体の平均寿命は73.3歳です。「1分間で70回、生涯で20億回」を当てはめて計算すると54.3年になってずれがありますが、この数字は終戦直後の日本人の平均寿命と同じくらいといわれています。
心拍数と寿命の関係について科学的に確かな根拠がある研究結果は存在しないのですが、こうした情報がベースになって、脈拍が速い人は早死にするという話が広まっていったのでしょう。
とはいえ、臨床的にも「脈拍が速い=頻脈」の人は、健常な人と比べて生存率が低くなる傾向があります。1分間の脈拍が100回以上になると頻脈と呼ばれ、心房細動を発症するリスクがアップします。心房細動は心臓が細かく不規則に収縮を繰り返す不整脈の一種で、頻脈の程度が強いと一時的な心臓機能低下から血栓ができやすくなり、心原性脳梗塞を起こす危険が高くなるのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」