前立腺がん治療最前線…がんだけを狙い撃ち、尿失禁ゼロの先進医療

狙い撃ち治療法は患者の負荷も小さく非再発率も高成績(C)日刊ゲンダイ

 患者の負荷が小さくても「がんの取り残し↓再発」のリスクが高ければ論外だ。しかしそれにおいても、非再発率は12~24カ月間で92.2%という高成績を保っている。

 HIFUでは、強力な超音波で細胞を破壊する。実は、HIFU自体はそう新しい治療法ではない。日本や諸外国で1999年から行われるようになったが、当時は前立腺全体への治療で、尿道狭窄が生じて排尿が困難になるという課題があり、存在感が薄れていったという。HIFUの「狙い撃ち」という特徴を最大限に生かせられるようになったのは、治療機器の技術や生検技術が向上したからだ。

「『前立腺がんか、あるいは正常か』ではなく、『どこに、どのくらいの大きさのがんが、どの程度の悪性度で存在するのか』まで診断できるようになったのです」

 前立腺がんが治療に至る一般的な流れは、「PSAという腫瘍マーカーが高値↓前立腺に数カ所針を刺し組織を採取。顕微鏡で観察(生検)↓がんなら標準治療の外科手術または放射線治療」。ここに課題がある。

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