前立腺がん治療最前線…がんだけを狙い撃ち、尿失禁ゼロの先進医療

狙い撃ち治療法は患者の負荷も小さく非再発率も高成績(C)日刊ゲンダイ

「がんが多発していれば、前立腺全体を治療する外科的切除や放射線治療となります。低悪性度なら、慎重な経過観察(監視療法)を勧めます。一方、限局タイプであれば、外科的切除や放射線治療も可能ではあるものの、術後の尿失禁や勃起障害を免れるのは難しい。そこで、HIFUでがんだけを狙い撃ちするのです」

 HIFUで前立腺組織が破壊されるとむくみが生じる。むくみで前立腺が動くと、狙い撃ちは難しくなる。そこで小路医師は、むくみで生じる前立腺体積の変化や変異を測定し、世界で初めて定量化。治療前にあらかじめ前立腺を圧迫して動かなくする方法を考案し、確実に「標的局所療法」をできるようにした。

 先進医療は、いまだ保険診療の対象とならない治療に対し、保険診療との併用を認めたものだ。

「先進医療として承認されたことで、自費診療と比較し、患者さんの自己負担額が減少します」

 家族や身近な人が前立腺がんの疑いあり、と言われることがあるかもしれない。この新たな選択肢があることを覚えておきたい。

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