でも、腹痛でも同じですが、軽いうちは誰でも「いや大丈夫!」と症状を否認して、なぜそれが起こっているのか、調べることを先延ばししやすいのが人間というものです。
そして、腹痛がひどくなってうずくまったりすると同僚に気づかれる。前者が「SCD」に、後者が「MCI」に該当するわけです。
さて、冒頭に戻りましょう。
「何科に?」については、診療科では選ばないことです。たとえば、私は精神科医で老年精神医学が専門。認知症患者さんを多数診ていますが、精神科医すべてがそうではありません。ご存じの通り、精神科領域にはうつ病や統合失調症、依存症、ADHDをはじめとする発達障害、拒食症や過食症などさまざまな病気があります。大人を診ているか、子供を診ているかでも異なります。認知症を疑って精神科を受診したからといって、認知症に詳しい先生に当たるとは限らないのです。
これは、脳神経内科でも脳神経外科でも、そして老年科でも同じ。医師によって専門とする領域は人それぞれです。
第一人者が教える 認知症のすべて