がんと向き合い生きていく

膵臓がんで亡くなった先輩医師にはさまざまなことを教わった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 B先生は、勤める病院は違っても同じがん化学療法の分野の臨床医師です。しかも、私より18歳も年上です。しかし、学問的な話はまったくされません。生活のこと、人間関係のこと、研修が終わった3年後のことなどを話しました。B先生が一緒に楽しんでくださっているように思えて、私はより甘えていたように思います。

 ある時は、横浜のご自宅に招待してくださいました。その時は、奥さんが料理されたフキを瓶に詰めて、お土産にいただきました。

 B先生には後輩の面倒をみることをたくさん教わったのですが、自分がB先生の立場になった時、後輩にこんなことまでしてあげられるかなと考えたこともありました。

■著書からはたくさん引用させていただいた

 がんセンターでの研修3年目の後半、M教授が翌年の春に上京されて新K病院の院長に、B先生はその消化器内科部長になることが急に決まりました。そしてその病院で、私はがんセンターから来られた部長と共に化学療法科という科を新設し、勤めることになったのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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