最初は消化器内科と言われたのですが、これまで白血病と悪性リンパ腫を中心とした3年の研修だったこと、化学療法科の部長の「1年間だけでもお願いしたい」との勧めもあり、私はK先生の下ではなく、化学療法科にお世話になることになったのでした。「1年間だけ」という約束だったのですが、結局は延々と、私が定年退職する平成24年まで勤めさせていただきました。
1972年、B先生は「がん化学療法の実際」という単行本を出版されました。当時は、固形がんに対する抗がん剤の専門書はほとんどなかった時代です。その後、私は論文を書く際にこの本からたくさん引用させていただいたと記憶しています。B先生は、横浜から片道1時間以上、満員電車で通勤される毎日でした。いつ論文を読み、本を書く時間があったのだろうか? 今でも不思議に思います。
B先生から私が本当に教わったことは、「先輩とはこういうものだよ」ということだった気がします。
がんと向き合い生きていく