第一人者が教える 認知症のすべて

認知症疑いの親に病院で検査を…どうやって切り出せばいい?

大原則は「嘘をつかない」(C)日刊ゲンダイ

 順番としては、まずは息子・娘から「いつまでも元気でいてほしいから」と受診を説得する。関係性によって、実の息子・娘のほうがいいか、義理の息子・娘のほうがいいかは変わります。それでダメなら、お孫さんから説得する。

 それでもダメなら、かかりつけ医に「そろそろいい年齢だから、調べておいたほうがいい」と説得してもらう。

 もし、父母の配偶者が健在なら、配偶者から「病院を受診したいけどひとりでは不安。付き添ってもらえないか」と切り出し2人で受診する。“付き添い側”の診察が主目的となるわけです。

 冒頭の女性の場合、息子さんが「母親が認知症のはずがない」と説得を拒否(息子が母親の認知症を拒否するケースはよくあります)。

 女性と、お義母さんが可愛がっていた娘さん(お義母さんから見たら孫)が2人で説得したところ、想像していたよりすんなりと応じてくれたそうです。患者さん自身が、以前はありえなかった物忘れなどに不安を感じていて、病院で診てもらいたい、でも勇気がない……と内心思っているケースも、またよくあります。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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