急がさず、じっくりと、患者さんご本人の思いを拝聴するのは、「患者さんが最優先」であることをご家族に理解してもらう意味もあります。
症状だけを聞くなら、患者さんを日々見ているご家族の方が情報をたくさん持っているでしょう。でも、その症状の背景にある患者さんの思いは、患者さんから直接伺わないことにはわかりません。ご家族も初めて耳にする内容もあると思います。その過程で、ご家族は診察室へ入って来た直後より冷静になって話ができるようになります。
「患者さんが最優先」というのは、初診時だけでなく、再診時も同じです。患者さんを除いて、ご家族とだけの面接は原則行いません。患者さんには内緒でご家族とこそこそ話す状況はつくりたくないのです。どうしても必要な場合は、認知機能検査や採血などをしている間に対応します。
患者さんを含めての面接としているのは、信頼関係を損なわないようにというのに加え、面接が治療の一環であるからです。
第一人者が教える 認知症のすべて
初診時こそ患者さんとの信頼関係を築く一番大切なタイミング
患者さんには内緒でご家族とこそこそ話す状況をつくらない