介入研究については、マスクの効果の検討に対して本連載でも取り上げたデンマークのランダム化比較試験が分析に利用されているが、この論文の個別のバイアスの評価については記載されておらず、「全体としては中等度のバイアスあり」という評価が報告されている。
メタ分析をするからといって、個々の研究のバイアスが修正されるわけではないのである。
多くのメタ分析が行われるようになって、医療者の判断に大きな影響を与えるようになった。
しかし、多くの医療従事者はこうした論文を系統的に評価する方法を学んではいない。医療従事者が「メタ分析の結果だ」と言って提供する情報であっても怪しいものがある。ましてや患者側がこうした情報を吟味するのは困難である。質が高いといわれるメタ分析の情報の氾濫は、現在の判断をむしろ混乱させているのかもしれない。
医療だけでは幸せになれない