ESBLを産生する細菌は大腸菌やクレブシエラなどのグラム陰性桿菌です。尿や便、創部などの病変や、水道シンクなどの水回りの環境に生息します。そのため、MRSAのように接触で簡単にうつるということはありませんが、何らかの原因、たとえば尿道カテーテルの不適切な取り扱いなどで院内感染として広がるケースもあります。
また、ESBLを産生する細菌は、先に触れた大腸菌やクレブシエラなど以外にも、セラチア、エンテロバクター、その他の腸内細菌系の菌種の中にも見いだされることがあります。これらESBL産生菌は腸管内に保菌され、院内感染における集団発生の原因菌となります。近年、日本においてもESBL産生菌の分離が増加傾向にあるといわれています。
感染防止策は、手洗いおよび防護用具の使用などの標準予防策、接触感染予防策の徹底と尿道カテーテルなどの取り扱いや器具の消毒を適切に行うことが大切です。
感染症別 正しいクスリの使い方