第一人者が教える 認知症のすべて

「脳血管障害による認知症」は高血圧と深く関係している

和食は塩分が高め(C)日刊ゲンダイ

 その代わり、東京に戻ったら、「ほぼ塩分なし生活」を送るそうです。塩分の入っている調味料(醤油、ソース、味噌、ポン酢、ドレッシング、マヨネーズなど)は使わず、パンやうどん、練り物やハム、ソーセージといった加工食品は原材料に塩分が含まれるので食べない。

 でも、食が貧しくなるわけではない。彼女はオリーブオイルが大好きで、お気に入りの一本を自宅にストックしている。値段は少し高めでも味がいいと思った野菜やパスタにそのオリーブオイルをたっぷりかけ、フレッシュなハーブ類やかんきつ類を搾って食べたりするそうです。限りなく満足がいく食事を取りながら、減塩も両立させている。

 人によって「これならできる」は異なります。激辛好きの人なら、塩の代わりに辛み成分を多くすることで、塩分が少ない物足りなさをカバーできるかもしれない。減塩は「この日だけやればいい」じゃないからこそ、自分ができる方法を見つけ、日々に取り入れていくことが大事だと思っています。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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