第一人者が教える 認知症のすべて

「脳血管障害による認知症」は高血圧と深く関係している

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 日本の高血圧の患者数は、推定約4300万人。約3人に1人が高血圧という計算になります。

 高血圧に深く関連しているのが、よく知られるように食塩摂取量です。日本人の食塩摂取量の平均値は以前と比べると減少しているものの、それでも多め。

 厚労省による「健康な日本人の成人男女が目標とすべき1日の食塩摂取量」は男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満とされていますが、男女ともにこれを数グラム上回っている状況です。

 なお、高血圧や慢性腎臓病など塩分摂取を厳しく制限しなければならない人では、重症化予防のため1日6グラム未満とすることが推奨されています。

 高血圧は、動脈硬化を進行させ、脳卒中、心筋梗塞のリスク因子になります。そして、認知症のリスク因子でもあります。

 認知症には、脳の血管に障害が出ることで発症する「脳血管障害による認知症」と、神経細胞が減少し、脳が萎縮することで発症する「神経変性による認知症」とがあります。前者は、脳卒中などが関係するもの。後者は、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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