尿は心臓病とも大きく関係しています。そのひとつが尿に血液が混ざる「血尿」です。一般的に、血尿は腎臓↓尿管↓膀胱↓尿道のどこかで出血して生じるものですが、その原因が心臓にあるケースも存在するのです。
一例として「感染性心内膜炎」が挙げられます。心臓の内側を覆っている組織に細菌や真菌が感染し、心臓弁に付着することで起こります。高熱、頻脈、疲労感などが現れ、心臓弁が損傷して命の危険もある病気です。心臓弁で形成された細菌や血液の塊が崩れて血栓になり、血流に乗って腎臓の血管に詰まると、血尿が生じます。感染性心内膜炎は治療しないで放置しているとほぼ死に至りますから、早い段階での処置が必要です。
ほかに心臓外科医が診ている病気では、心臓病の治療後に血栓予防の目的でワーファリンなどの抗凝固薬を服用している患者さんで徐々に心不全が進行すると、血尿が見られるケースがあります。薬の副作用によって出血しやすい状態になっているうえに、心臓のポンプ機能が十分に働かなくなる心不全が進んでくると、薬の効きが強くなって膀胱で出血を起こす場合があるのです。そうした患者さんをエックス線検査・撮影してみたら、心不全が進行して心臓が肥大していたことがわかったケースもありました。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」