医療だけでは幸せになれない

繰り返される学級閉鎖 …いまこそマスク着用の有用性についての科学的検証を行うべき

科学的検証が必要(C)PIXTA

・新型コロナウイルス感染症の流行期に重症化リスクの高い方が混雑した場所に行く時

 学校は長時間にわたり、密閉、密接、密集の3蜜が起こりやすい状況にあり、最もマスクの効果が発揮できる環境かもしれない。これまで紹介してきたマスクのランダム化比較試験では、マスクを勧められても実際に着用するのは半分以下に過ぎず、十分な効果が得られなかった面があるが、学校でマスク着用となれば100%近くが着用する状況が達成される可能性が高い。事実、5類変更以前ではマスク着用を勧めていた学校が大部分であった。

 ただエビデンスという面で言うと、これまで紹介してきたランダム化比較試験やメタ分析で学校でのマスク着用の効果を取り出して解析した結果の報告はない。学校でのマスク着用の効果を検討した、それ以外のランダム化比較試験やメタ分析の論文も見つけられなかった。

2 / 6 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

関連記事